top of page

​生活習慣病

​アルコール性肝障害

​長期にわたる過剰な飲酒(通常は5年以上)が肝障害の主な原因となる肝臓の病気である

アルコールを飲んでいると、90〜100%近い人にアルコール性脂肪肝が発症すると言われています

慢性アルコール性肝障害のある人が、大量飲酒を契機に発症する急性肝障害です

アルコール性肝障害の状態であっても過剰な飲酒を続けていくと、肝臓が繊維化して硬くなっていきます

肝臓の線維化が進んでいき

相変わらずの大量飲酒を続けていくと

アルコール性肝硬変へと進んでいきます

飲酒によって体内に入ったアルコールを代謝して

​体外に排出できるようにするのが肝臓です

自分の意志で、飲まずに済むことができればやめることもできるでしょう。ところが、アルコール依存症という恐い病気もあるのです

Please reload

アルコール性肝障害とは何か?

アルコール性肝障害とは何か?

長期間にわたって過剰な量の飲酒を続けたことによって

肝障害が起きてくる病気のことで

アルコール性の脂肪肝、肝炎、肝線維症、肝硬変、肝がんなどの病気があります

断酒に成功することで肝臓が正常に治っていくこともあるけれど

飲酒を続けると次第に悪化していくことは避けられないようです

特に急性の肝炎では死亡することもあります

ただの飲み過ぎとは違う恐い病気です

断酒を含めて真剣に治療しないと治らないのですが

その断酒が難しいことが多いです

 

2011年版の日本アルコール医学生物学研究会の診断基準   

*過剰の飲酒とは1日に純エタノールに換算して60g以上の飲酒(常習飲酒家)

    但し、女性や遺伝的にお酒に弱い人(ADLH2欠損者)では1日に40g程度の

 飲酒でもアルコール性肝障害を起こしうると言われている        

 *禁酒により血清AST、ALTおよびγ−GTP値が明らかに改善する      

*B型肝炎やC型肝炎などの肝炎ウイルスマーカーや抗ミトコンドリア抗体  

抗核抗体などの自己免疫性の肝臓病を疑う検査値がいずれも陰性である   

   ​

  

 種類         量   アルコール度数 アルコール換算量  

 

 

 ビール中瓶1本    500ml           5%                 20g

 日本酒                  1合180ml         15%                 22g

 焼酎                     1合180ml         35%                 50g  

 ワイン1杯                 120ml         12%                 12g

 ウイスキー           ダブル60ml         43%                20g       

 ブランデー           ダブル60ml         43%                20g

各種アルコールの換算表

アルコール性脂肪肝

アルコール性脂肪肝

アルコールを相当量飲んでいると

90〜100%近い人に

アルコール性脂肪肝が発症すると言われています

相当量とは

アルコール換算量が60g/日を越えて5年以上の飲酒歴がある場合です

但し、女性または遺伝的にアルコールに弱いADLH2欠損者は40g/日を越える場合です

(ADLH2:ADLHはアルデヒド脱水素酵素であり、アセトアルデヒドが低濃度の時に働くのがADLH2です。この酵素が無い場合はアルコール分解産物であるアセトアルデヒドを速やかに分解できないため少量のアルコールでも悪酔いし易い)

日本酒換算で5合程度を毎日5週間続けても

アルコール性脂肪肝を起こすといわれています

このようにアルコールの過剰摂取によって起こる

最初のアルコール性肝障害が脂肪肝です

肝臓に異常なほど脂肪が蓄積されてしまっている状態です

(肝細胞の30%以上)

症状はほとんどありません

脂肪肝は可逆性(原因となっていることを改善すれば元に戻る)の病気で

飲酒をやめれば改善が期待できます

アルコール性肝炎

アルコール性肝炎

このアルコール性肝炎は

慢性アルコール性障害のある人が

大量の飲酒を契機に発症します

たとえば宴会などで急激にアルコールを大量に飲んだ時に発症します

食欲不振、悪心、嘔吐、全身倦怠感、発熱、腹痛などの症状が出ます

軽症から重症まで程度はさまざまです

入院が必要になることが多く

重症の場合は死亡することもあります

重症化した場合は

禁酒をしても肝腫大が持続し

肝性脳症、肺炎、急性腎不全、消化管出血などを合併し

多くは1ヶ月以内に亡くなるといわれています

これを重症型アルコール性肝炎といいます
 

アルコール性肝線維症

アルコール性肝線維症

アルコール性脂肪肝となっても

相変わらず、過剰な飲酒を続けると

肝障害の程度が更に進んでいきます

多くは自覚症状が無いままに

肝細胞が壊死してその周囲が線維化していきます

この状態がアルコール性線維症です

線維症が進んでいくと倦怠感や腹痛が起きてきます

さらに悪化していくと発熱や黄疸症状が現れてきます

肝臓の線維化が進んでいくと

肝臓は硬くなっていきます

アルコール性肝硬変

アルコール性肝硬変

肝臓の線維化が進んでいき

相変わらずの大量飲酒を続けていくと

アルコール性肝硬変へと進んでいきます

男性では日本酒で5合を20〜30年、

女性ではこの2/3の量の飲酒を12〜20年で

肝硬変へと進んでいくといわれています

アルコール性肝障害の最終段階の状態が

アルコール性肝硬変です

腹水や黄疸、消化管に静脈瘤という病変ができて

出血することもあります

アルコールと肝臓の関係

アルコールと肝臓の関係

アルコールを飲んだ時に

肝臓で酵素が働いて「アセトアルデヒド」という物質に分解されます

さらに水と二酸化炭素に分解されて体外に排出されます

アセトアルデヒドは有毒な物質ですが

分解されて、通常は体外に排出されるので問題にはなりません

ところが、過剰な飲酒をすると

アセトアルデヒドが多量に作られて排出されるまでに時間が掛かります

このために人体への悪影響も出てきます

飲み過ぎて頭痛や吐き気がするのは

このアセトアルデヒドの強い毒性が原因です

さらにアセトアルデヒドは活性酸素を介して肝細胞を傷つけます

脂肪の分解も抑制するので、肝臓に中性脂肪の蓄積を促すのです

このために過剰な飲酒が脂肪肝を招くのです

長期間に渡り、毎日、毎日、過剰な飲酒を続けると

肝臓は休む間もなく働き続けていきます

過剰な飲酒で脂肪肝の状態で

それでも過剰な量の飲酒を続けると

肝臓が正常に機能しなくなるのも仕方ないですね

このために肝臓を休めるための休肝日が必要になるのです

断酒

断酒

「もうお酒はやめました」と言い切って

簡単に飲まないようになるのならいいですが

相当量のお酒を常習している人の中には

止めたくても止められない人もいます

お酒に限らず何かに「依存」してしまうことはあるでしょう

しかし、アルコールへの依存は

アルコール性肝障害という形で

心だけではなく体も病んでいきます

さらに社会的にも困難な状況を作っていきます

断酒会について調べてみるとわかりますが

治療を受けていても止められないくらい

アルコール依存症から抜け出すのは大変です

そしてこの病気には完治が見込めず

​常に断酒のための闘いが続くようです

bottom of page